ドクター白鳥の頭痛相談室(その18)
HMSJ Tokyo 2014
I 頭痛医療が目指す姿
抗CGRP抗体
予防効果が圧倒的な可能性
トリプタンは三叉神経終末からのCGRP感覚伝達と血管拡張、の放出を抑制
II 片頭痛医療の基礎;診断、分類、病態
片頭痛の病態生理
- 予兆AHヴァソプレッシン視床下部 体液貯留 PETで証明
前兆 CSD 電気的抑制が拡散
間欠期 誘発電位で慣れが障害されている 片頭痛患者で 中枢神経系の異常 - 視床皮質コリン作動性求心性 早期の障害
視床から皮質へのドライブ障害 - 下降性疼痛性抑制系の障害
発作が近づくにつれ機能が下がる - 家族性片頭痛
シナプス異常とわかっている - 発生機序
光が嫌 頭を振ると痛いなど
髄膜炎との類似
硬膜との関連
三叉神経血管説
三叉神経からCGRP SPなどが放出 血管内皮 - CG受容体 血管 三叉神経グリア 中枢側にもある
- CG受容体拮抗薬
肝障害などでだめ - 抗体が開発
いい結果だが、プラセボ効果も強い 片頭痛の特徴 - CG抗体はどこで効く?
血管説は??です
5HT 1Fに親和性(1Bでなく)でも効果がある 1Bは血管に作用するので、血管とは言えない - 侵害刺激の受容側の感受性亢進では?
三叉神経系の末梢性感作が拍動性頭痛に関与
脊髄背側路
視床 - 頭痛時 末梢性感作から中枢性感作に
- Q 血管 側頭動脈押さえると改善する人がいる
fMRIでは否定的
感作がまだ完成してなければ効果があるのでは? - Q CSDと三叉神経の関連
HMBG1が関連 CSDがおこると出てくる 三叉神経を刺激 - Q発作時にセロトニンが抑制される
?
頭痛と慢性化
- 片頭痛の3%は慢性化する
慢性連日性頭痛CDHの44%は、1年後もそのまま。
しかし、逆に良くなる人もいる - CDH継続のリスクは、アロディニア、頭痛の頻度が多い、予防薬を服用している(=たぶんもともと重症だから)、肥満、学歴低い、低所得、離婚
- 共存症が多いと慢性化しやすい(スライドn11)
ドイツでのデータ 頭痛頻度が多い、薬の飲み過ぎ、がよくない(12) - 頭痛日数が10日以下なら薬の飲み過ぎは問題ない
- 慢性だとアロディニアの合併が多い(14)
- Pain matrix 末梢中枢ともに感作 慢性疼痛共通の機序
- FDG-PET MOH断薬前後での比較
断薬後ほとんどの部位は血流改善
OFCだけは回復しない
これがgordian knotになっている
衝動、強迫行動、意思決定など、薬物乱用のもとになる神経回路 MOHが再発しやすいもとになっている - 海馬との関連 楔前部と海馬の機能的結合が、頭痛の悪記憶を残すのでよくない
- 慣れ(ハビチュエーション)がなくなっている(22)
- 片頭痛が頻回だと中心後回が肥厚している(24)
- 慢性片頭痛の遺伝子はいまのところわからないが、きっとある
- 肥満は片頭痛の慢性化のリスクだが、緊張型頭痛TTHでは無関係 片頭痛MとTTHでは違う例の一つ
- Q関節炎はどうして慢性化のリスク?
薬?炎症?
慢性炎症でしょう
頭痛の診断 ICHD−3βを上手に使う
- スライド5
片頭痛の分類の変更点
慢性片頭痛CMを片頭痛の中に入れた
片頭痛に関連する周期性症候群は、「小児の」をとった、大人にもいるから - スライド6
脳低型、から脳幹性前兆を伴う片頭痛に
網膜片頭痛 よく問診しても、右目で、または左目でみえる閃輝暗点 - スライド9
CM どんな頭痛だろうが、月15日以上3ヶ月を超えておこり、そのうち8日以上が片頭痛 - スライド10
片頭痛に関連する周期性症候群
1.6.3 良性発作性斜頸が加わった - スライド11
前庭性片頭痛 5分から72時間の中等度以上の前庭症状がある、ということ、
しかしまだ?? - スライド12
短時間持続性片側神経痛様頭痛発作をSUNCTとSUNAに分類
SUNAは充血と流涙をともなわないが、なんらかの自律神経症状がある
治療はラモトリギンが定着しつつある - スライド21
貨幣状頭痛の例
50歳男性 しめつけぴりぴり感
径2.5cm
アミトリプチンで改善
4.8 貨幣状頭痛(Nummular headache)
A. Bを満たす持続性あるいは間欠的な頭部の痛み
B. 頭皮の領域に限定して感じ, 以下の4つのすべての特徴を持つ
1. くっきりした輪郭
2. 大きさと形が一定
3. 円形または楕円形
4. 直径が1〜6 cm
C. ほかに最適なICHD-3の診断がない。 - スライド28
4.10新規発症持続性連日性頭痛
解説:明瞭に思い出すことが出来る発現から連日性にみられる持続性頭痛。痛みは、特徴的な性状を欠き、片頭痛様あるいは緊張型様であったり、両者の要素をもっていることもある。つまり頭痛はいろいろ
診断基準:
A. BおよびCを満たす持続性頭痛
B. 確実で明瞭に発現を想起される持続性で、24時間以内には非寛解性の痛み
C. 3ヵ月を超えて持続する
D. ほかに最適なICHD-3の診断がない。 - スライド31
6.7.3 可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)による頭痛
解説:性行為、労作、ヴァルサルヴァ手技あるいは感情などがしばしば引き金になり、典型的には1〜2週間にわたって雷鳴頭痛を繰り返す可逆性脳血管攣縮症候群によって引き起こされる頭痛。頭痛はRCVSの唯一の症状のことがある。
診断基準:
A. 新規の頭痛で、Cを満たす
B. 可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)と診断されている
C. 原因となる証拠として、以下のうち少なくとも1項目が示されている:
1.頭痛は局在神経学的欠損または痙攣発作(あるいはその両方)を伴うことも伴わないこともあり、血管造影で「数珠(strings and beads)」状外観を呈し、RCVSの診断の契機となった
2.頭痛は以下の項目のどちらかまたは両方の特徴をもつ
a) 雷鳴頭痛として発現し、1ヵ月以内は繰り返し起こる
b) 性行為、労作、ヴァルサルヴァ手技、感情、入浴やシャワーなどが引き金となる
3. 発症から1ヵ月を超えると著明な頭痛は起こらない
D. ほかに最適なICHD-3の診断がなく、動脈瘤性くも膜下出血が適切な検査で除外されている - スライド33 RCVSの少なくとも半数は二次性:産褥後、違法薬物、α交感神経刺激剤、セロトニン作動薬などの使用後に起こる。
- Q CM疑いが診断基準からなくなっているが?
A 慢性緊張型頭痛との鑑別が終わるまでは、診断未確定
頭痛の治療 慢性頭痛診療ガイドライン2013
片頭痛を中心に手引き
12年後には42%は部分的には寛解している、一方で20%は増悪している
ランチョンセミナー
MOHの治療
- 「薬剤の使用過多による頭痛」と、「薬物乱用頭痛」から日本語だけ変更
- 原因薬剤はただちに中止すべきか?
勧告されている
日本での臨床報告は漸減では再発が多かった - 頭痛症候群
増悪 慢性化 新たな頭痛 - 痛み調節計 大脳中脳
脳内セロトニン減少 - 治療法 坂井
脳と心の痛み調節系を正常化する
適切な急性期治療を指導 - アミトリプチン2.5mgからセロトニンを活性化
- セレコックスcox
ドンペリドン - トリプタンによるMOHは確信犯
予防薬が必要
セレニカ ワソラン - 反跳頭痛
トリプタンは意外と短く4日で改善平均
しかも離脱後すっきり - MOHもとの頭痛は70%片頭痛
CalabresiP
2005 - MOHの二つのタイプ
単純と複雑
精神疾患の関与 - 不安あるいは頭痛が多く中止困難例
- MOH 新たな頭痛が発症する MOHのむずかしさ
- ねてすぐ 明け方 睡眠時頭痛 コーヒーが効いた
(参考 睡眠時頭痛とは
1.診断
ICHD- II による診断基準 1) 2) :
- A. B 〜 D を満たす鈍い頭痛
- B. 睡眠中にのみ起こり、覚醒をきたす
- C. 次の特徴のうち少なくとも 2 項目を満たす
1.1 ヶ月あたり 15 回を越えて起こる
2. 覚醒後 15 分以上持続する
3. 初発年齢は 50 歳以上 - D. 自律神経症状がなく、悪心、光過敏、または音過敏のうち2つ以上を示さない
- E. その他の疾患によらない
これまでの報告は症例報告がほとんどであるが以下のような特徴があげられる
3-11) . 男女比は 1 : 1.5 と女性に多く , 平均の発症年齢は 50 〜 60 歳である . 頭痛の程度は軽度〜中等度であるが 20 %に重度の痛みが報告されている . 両側性の鈍痛のことが多く , 前頭〜側頭部または全体の痛みである . 持続時間は 15 〜 180 分で , 発作頻度は 1 〜 2 回 / 日で多くは睡眠後 3 時間の午前 1 〜 3 時に出現する . 自律神経症状はなく , 片頭痛でみられる随伴症状の出現も少ない . 睡眠ポリグラフィの検討では , 頭痛はREM睡眠期に出現することが多いが ,NREM 睡眠との関連を指摘する報告もある . 睡眠時無呼吸症候群や動脈血の酸素飽和度の低下とは関連がないことが多く , 周期性下肢運動障害がみられることもある . 時間生物学的な障害の存在が疑われているが現在のところ不明な点が多い . 画像診断によって二次性頭痛を鑑別することが重要である . 鑑別診断として , 睡眠時におこる一次性頭痛である群発頭痛 , 三叉神経・自律神経性頭痛(発作性片側頭痛, SUNCT 症候群) , 持続性片側頭痛などがあげられる
2 治療
- 薬物治療としては , カフェイン , リチウム , インドメタシンなどによる効果が報告されている .CPAP ( continuous positive airway pressure )の効果があったとする報告もある . 長期的な予後は明らかにされていない .)
- 片側頭痛
- CBT
頭痛体操
ヨガ
鍼
バイオフィードバック - 三叉神経(脳内)―頸髄神経のクロストーク
放散痛 逆行性 - 片頭痛と圧痛点
C3
ヨガで改善 - 鍼で痛みマトリックスの血流が増える
中枢性の効果 - セルフマネジメント
MOHに集約されている - 痛みの悪循環
破局的思考 - 薬すぐやめるかどうかだけではなく心理的なケア
III 特別な興味を引くセクション
41回頭痛学会総会のトピックス
ガラパゴス化しないために
TACsの診断治療
- 群発頭痛 反復性と慢性の違い
1ヵ月の寛解期がある
1年間を越え、寛解期がないか1か月未満の寛解期 - 鑑別
レーダー症候群(片側性Horner症候群と、同側性三叉神経領域(特に眼窩 領域)の疼痛および感覚障害)
三叉神経痛を伴うことがある tic-tac - 鑑別ポイント
男女
インドメサシンが効くのは女性 - 睡眠時頭痛
覚醒した後
月10日 3ヶ月
15分以上 - 群発の治療
後頭神経刺激
ワソランとステロイド - SUNCT SUNA
単発
多発
鋸歯状
の3形がある - 二次性SUNCT
- 三叉神経痛は女性に多い
不応期がある 刺激での誘発 - 治療
ラモトリギン
25mgからスタート125-200mgまで - 持続性片側頭痛
A.B〜Dを満たす一側性の頭痛がある
B.3ヵ月を超えて存在し,中等度〜重度の強さの増悪を伴う
C.以下の1項目以上を認める
1.頭痛と同側に少なくとも以下の症状あるいは徴候の1項目を伴う
a)結膜充血または流涙(あるいはその両方)
b)鼻閉または鼻漏(あるいはその両方)
c)眼瞼浮腫
d)前額部および顔面の発汗
e)前額部および顔面の紅潮
f)耳閉感
g)縮瞳または眼瞼下垂(あるいはその両方)
2.落ち着きのない,あるいは興奮した様子,あるいは動作による痛みの増悪を認める
D.治療量のインドメタシンで完全寛解する
E.他に最適なICHD--‐3疾患がない。 - サブタイプ
寛解型 持続的ではなく,1日以上の寛解期によって中断される痛みを示す
非寛解型 持続痛により特徴づけられる持続性片側頭痛が少なくとも1年間続き,1日以上持続する寛解期を認めない - 二次性HC
- 治療
インドメサシン - TACs疑い
頭頸部神経障害性疼痛
- 国際疼痛学会の定義
末梢神経の侵害受容器への刺激
刺激がなくても痛い アロディニア 痛覚過敏 - QOLがさがる
EQ-5Dで評価 がんの末期と同じ 三叉神経痛 - 反復性の痛みありなし
片側性
神経障害性の可能性 - 鋭い痛み
トリガーで一瞬の痛み - TN
高齢者に多い 75才に多い
若い時はほかの病気を疑う
右がやや多い
2、3枝 - 二次性はMSが一番多い
- 明白な神経障害はない
- 帯状疱疹後 外傷 持続性 常にじんじん 焼け付くびりびり 1枝だとかゆい アロディニア
- TN
寛解期
片側
頸髄に拡がらない 耳の後ろには広がらない
トリガーがある
抑鬱が少ない - 治療
CBZ NNT 1.8 ほぼ効果
Op γナイフ - 後頭神経痛
持続痛
頸椎のダイナミックスタディ - 治療のヒント
発作性 抗痙攣
持続性 抗うつ系
性差のある頭痛
- 片頭痛 再発、持続時間、随伴症状(嘔吐・光過敏・首肩こり) Fに多い
- 更年期障害に対するHRTは20%悪化
- ピル服用のリスク 増悪や血管障害
- 男性に多いのはCHと性行為関連頭痛
- 誘発因子の性差
F
こり
寝不足
人ごみ
気温
ストレスからの解放 - M
目の疲れ
お酒 - 誘発因子をダイアリーからともに分析する
- 妊娠中カロ効かなければイブ トルプタンも 五十嵐D
頭痛のイメージング
- 造影が必要な時は?
- 32M
CVT
浮腫 単純では
動脈支配から考えにくい梗塞
偽腫瘍所見 - コードサイン
エンプティセラサイン
デンストライアングルサイン - SAHのCT所見:ポイント
1.脳槽5角角形の変形の有無
2.シルビウス裂の左右差
3.大脳縦裂とシルビウス裂の差
4.脳室後角の変形の有無
5.脳室拡大の有無 赤ん坊がないているように見える - 55F
RCVS
頭痛の後に血管攣縮
SAH 皮質下 梗塞 ICH PLES - 32F
飛行機
寝るとよくなる
わずかな硬膜下出血
髄膜肥厚
髄液漏出S
安静補液で治療 - POTS
頭を上げた直後から痛む ISHは15分 - CADASIL
MRIで気づかれる
T2 脳梗塞前にはっきり
側頭極を含む
白質ディストロフィーを鑑別
55歳以下の脳梗塞
造影検査は禁忌 - Q横静脈洞は?
わかりにくい
IV 将来へのトピックス 〜難治性頭痛とは?〜
低髄液圧による頭痛
症例1-1
- 32M
もともと片頭痛
起立性の頭痛
ISH疑い
前医で腰椎穿刺していた
症例1-2
- 26F
側頭部圧迫感
発症 1W前からスキューバ始めた
起立性頭痛
ISH疑い
3βでは時間がとわれない
BPでの治療成績が問われない - 随伴症状いろいろ
- POTSは午後や夜間改善
- 誘因
いきみ
咳
気圧低下
頭頸部外傷
しりもち
性行為 - 治療
まずは安静補液
それからBP
症例2
- 52M
毎日頭が痛い
もともと子供の時は片頭痛
ストレスと言われた
うつと診断され、うつは改善したが頭痛は治らない - ダイアリーを細かく検討
片頭痛
薬物乱用
体重
SAS
アルコール
カフェイン
症例3
難治性TTH
3−1
- 57F
両目の奥が毎日痛い
たまに吐気 - うつ
SSRIで改善傾向
3−2
- 33F
23歳から頭痛
29歳から頭真っ白
月半分鎮痛剤 - 教師
うつ - 治療
アミトで効果なければSSRI考慮
症例4
精神的心理的
38M
- めまい動悸頭痛
急にめまい さまざまな症状 - DSM 疼痛性障害
身体症状関連障害
CBT セルフコントロール
気が合えば根気よく診ていく - 指定発言
五十嵐D
多発 予防薬が効かない
家庭内の問題
BP後起立性頭痛はなおったが、、
慢性群発頭痛
ピルで生理痛は改善したが、、、
脳梗塞があり、トリプタン使えない
予防薬が副作用で使えない
40M
最近頭痛がひどく
女性との結婚を反対されていて頭痛だった
28F
頭痛とあちこちが痛む
繊維筋痛症
- 糸口
病歴
いつから?
思い当たることない人が多い
薬の状況
体動
立位
精神疾患
生活の支障は? - CDH患者を診て何を考える?
慢性片頭痛
片頭痛+TTH
慢性緊張型頭痛
NDPH
MOH
低頭蓋圧性頭痛
頭頸部外傷
むちうち
精神疾患 - アプローチは?
的確な診断
基本治療
乱用
精神
睡眠
生活 カフェイン - 目標を下げる
- それでもなおらないのが難治性
まとめ
- 難治性を一言でいうことはできない
- 末梢説 三叉神経節 神経原性炎症
- 精神疾患はCDHに先行する