第128号
2014年2月
蝶々夫人 新国立劇場
プッチーニを代表するオペラ。こうして今オペラを楽しむようになったのも、こどものころNHKで蝶々夫人を見て「?」「!」だったから。その意味で私の原点。母が三浦環を尊敬していたので、その流れでいっしょに見たんだろう。子役がアメリカの小旗をさかんに振っていたのを覚えている。
さて、タイトルロールはアレクシア・ヴルガリドゥ、新国立初登場と言う。ギリシアのソプラノ。特別なものを感じないのは、この栗山民也さんのプロダクションが新国で何回もかかっているので、みんな慣れているから、ということかも。
特記すべきは指揮のケリー=リン・ウィルソン。指揮者の良し悪しなんてもちろんわからないけれど、タクトさばきが優雅な女性。新国立で女性指揮者は初めてでは?今年のマチェラート音楽祭も、女性だけの指揮者陣でオペラを振る、がテーマになっていて、世界的な流れであろう。TV番組で、「蝶々夫人のアリアでは、オケは歌の伴奏ではなくて、同じ旋律をすべての楽器で弾いて情感を高めている」と解説していた。なるほど。
ジョン・ノイマイヤー振付「ロミオとジュリエット」 東京バレエ団
東京文化会館
ジュリエット:沖香菜子
ロミオ:柄本弾
ノイマイヤーが来日直接指導、現在の日本のバレエの水準を示す公演だったと思われる。
最後まで配役が決まらず、どんなものかと思っていたが、下手な海外バレエ団よりはよっぽど上手。たとえば先月のキエフよりは水準が高いが、まだオーラを感じないのはやむをえまい。
ソフトバンクのCMで使われて一躍有名になった騎士の踊りは使えるな。家にかえってからも、首ふって踊っています。POGのノイマイヤー版椿姫を購入した方に、と直前に安売りチケットの案内が来たので購入した券だったが、いい席でした。当日はほぼ満席。いい席を売らずに死蔵するの、やめたんだね。これはNBS海外オペラ来日公演でも気になる点。ローマ歌劇場のシモンも、直前のエコノミーケ券狙いでいまだに購入していないが、どうなるか?
名フィル ハイドン・ロンドンセット
白川ホール
とてもいい中ホール。こけら落としで、学生のころ2回くらい来たかな。そのときは阿川さんが司会で来ていたけど(まだ若くてきどってたね)、今やすっかり音楽ネタは壇ふみさんに。壇さん、しょっちゅう公演でお見かけします。TVで、シューマンとブラームス、クララをからめて対比するとき、ゲストで解説というか感想を述べていたけど、とてもわかりやすくて、すっと心に入る話し方でした。
ニューヨークフィルNYP
サントリーホール
プログラムC
- ラウス: 狂喜
- リンドベルイ: ピアノ協奏曲第2番(ピアノ:イエフィム・ブロンフマン)
- チャイコフスキー: 交響曲第5番 ホ短調 op.64
ブロンフマンは、指さばきが見える席での鑑賞。最高に楽しかった。
値付けが高すぎて、空席が目立ったのが残念。
プログラムD
- ベートーヴェン: オペラ「フィデリオ」序曲 op.72b
- ショスタコーヴィチ: ヴァイオリン協奏曲 (ヴァイオリン:リサ・バティアシュヴィリ)
- ベートーヴェン: 交響曲第1番 ハ長調 op.21
- ガーシュウィン: パリのアメリカ人
- ブリッジ: 交響組曲『海』
- 藤倉大: 木管楽器・打楽器による5人のソリストとオーケストラのための《Mina》*
- ブルックナー: 交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』[ハース版(1878/80年稿)]
NYPがガーシュインをやると、まず音が大きいのに驚く。診察室でCDかけていたら、高校生の子が、「ブラバンみたい」って言っていた。
日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画』 東京都美術館
狩野芳崖、横山大観、小林古径、安田靫彦、平山郁夫から奥村土牛《閑日》猫の絵です、小倉遊亀《径》まで。日本画の歴史がわかります。全作品入れ替えとのことなので、後期も行く予定です。小倉遊亀のコーちゃんの休日が出品予定。お持ち帰りはそうだな、べたに「飛鳥の春の額田王」。衣装と都の紅くれないが印象的。
アルトナの幽閉者 新国立小劇場
最近再評価がなされているというサルトルの劇。演出上村聡史。
美波さんはきれいですね。フランス人とのハーフとか。笑顔なしの冷?演。しゃべると魅力半減、と言う、ネット情報。
内容は、アルジェリア戦争の時の、フランス人のアルジェリアに対する残虐行為・拷問に触発され書いた、というんだが、悪いことはナチスドイツに置き換えて演劇化する、てどんなもんだろう、サルトルさん。残虐行為をする側、の心の闇、を「蟹」に託していたのは面白かったです。
アメリカンバレーシアターABT これは3連発
くるみ割り人形 2010年、ラトマンスキー振付 オーチャードホール
ヴェロニカ・パールト/マルセロ・ゴメスで。
ヴェロニカ・パールトはまさしくギリシア彫刻のよう。一発でファンに。動のディアナ・ヴィシニョーワとはまさしく対極。おとなのバレエ、マノンとも対極。
毎年クリスマスにみているLOHに比べても子供っぽさを強調した演出で、パールトとの相性がどうか?と思う。
オールスターガラ Bプロ オーチャードホール
テーマとヴァリエーション
振付:ジョージ・バランシン
音楽: ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ / コリー・スターンズ
「椿姫」第3幕 (黒)のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
ジュリー・ケント / ロベルト・ボッレ
おとなのバレエ。JKも子持ちとは思えない。
「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴルスキー
音楽:レオン・ミンクス
パロマ・ヘレーラ / ジェームズ・ホワイトサイド
知らないダンサーでしたが、とてもよかったです。アルゼンチン出身とか。
「ロミオとジュリエット」よりパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ジリアン・マーフィー / マルセロ・ゴメス
「マノン」第2幕よりマノンのソロ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ナターリヤ・オーシポワ
コリー・スターンズ/ロマン・ズービン
ピアノ・コンチェルト 第1番
振付:アレクセイ・ラトマンスキー
音楽:ドミトリー・ショスタコービチ
シオマラ・レイエス / ダニール・シムキン
クリスティーン・シェフチェンコ / カルヴァン・ロイヤルV
マノン 東京文化会館
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ディアナ・ヴィシニョーワ/マルセロ・ゴメス
ミスティ・コープランド/ダニール・シムキン
おとなすぎるバレエ。
やさぐれのお兄さん、シムキンが、かわいい弟にしか見えない。純真なマノン、のはずがこちらの方がワルに見えてしまいます。
名フィル 定期演奏会
マーティン・ブラビンズ (指揮/名フィル常任指揮者)
インターナショナル・コンテンポラリー・アンサンブル
ニック・マスターソン (オーボエ)
ジョシュア・ルービン (クラリネット)
レベッカ・ヘラー (ファゴット)
ネイサン・デイヴィス (打楽器)
水−海の表情と生命の誕生
下手でした。
Kawaii 日本美術 〜若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで〜 山種美術館
かわいい作品を集めた展覧会。いつにもまして、女性が多い。
伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》静岡県立美術館にあるんですけどね。この孔雀、手塚治の火の鳥そのもの。
お持ち帰りは、まあ、考えておこう。
クリーブランド美術館展 ─ 名画でたどる日本の美 東博
クリーブランド美術館で、2013年6月、新たに日本ギャラリーを開設した記念に、平安から明治に至る選りすぐりの日本絵画約40件に、西洋絵画などの優品を加えた総数約50件を紹介する展覧会を開催。
最後に特別展示されている「トラとバッファローの戦い」アンリ・ルソーが一番印象に残ってしまう、けったいな日本文化展示会でした。
大浮世絵展 江戸東京博物館
あなたの見たい浮世絵に出会える、がキャッチだが、展示替えが頻繁で、見たい作品がいつ展示されているのかさっぱり。まあ、ギメや大英博物館では見ることができなかった流出名品の数々、特にギメはほとんど浮世絵の常設展示はしていないので、見られたのは収穫だった。
一番見たかった広重「大はしあたけの夕立」、教科書的に見たかった菱川師宣「見返り美人図」は展示されていなかったけど、3月に入って、巡回先の名古屋市博物館で見れました。良かった。
来月は冬の京都から。
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