ドクター白鳥の頭痛相談室(その16)
2013年日本神経学会学術大会 速報
今年も無事、神経学会に出席することができました。
年々、学会のIT化が進んでいます。
出席するセッションをネットで事前登録をするだけではなく、当日の資料をあらかじめダウンロードし、タブレットなどで持参することが求められるようになりました。
というわけで、今回は家のPCを会場に持ち込み。荷物嫌いの私には大英断。
しかし、なんと新幹線の車上、PCを立ち上げようとしたら、、、。
うんともすんともいいません。ひゃ〜〜〜!
学会受付の方にも相談にのってもらっているうちに、なんとか立ち上がりました。
よかったあ。
そんなわけで、今回の学会から、会場でのメモを直接PCでおこない、少々手直し後 サイトにアップする方式にチャレンジ。
ここでは頭痛関連のセッションに出席したものを要約してアップします。
2013年5月30日
2013年5月31日
2013年5月30日
片頭痛に潜む頸頚腕症候群
下村D
- 緊張型頭痛TT
-
20歳以上 女性多い
誘因 環境変化 さけ 寝不足 寝過ぎ ストレス 運動後 肩こり
片頭痛 男性 お酒飲まない人多い 女性 ダイエットする人
運動しない人に多い TTもMも - 緊張型頭痛M
-
40%両側 片側から両側に20% あわせて6割両側
原因不明
反復発作性頭痛
動作で悪化
局所神経症状 せんき暗点が一番多い ろれつ失語があることも - 病歴
-
いつから・どこ・どのように・どれくらい・随伴・体動・頻度・変化・家族歴
MとTTには連続性がある
TTは頸頚腕症候群を含む
頭痛とともに肩こりも これが頸頚腕
MからTTに - 誘発
- トリプタン使用しても締め付け感が残るとトリプタン効かないと考えてしまう トリプタン効果限界
だからTTをあらかじめ治療しておく
TTからMに
20歳以後では40%がこのタイプ
15歳までは100%いきなりM - 検査
-
炎症反応は必ず
CT 患者さんの希望聞いて
頸椎X 片頭痛の50%以上で異常
脊柱管狭ければMRIも
SAS いびき
群発 めから矢が突き刺さり後ろ
せんき暗点 きらきらが動く この頭痛はどーんと痛く短い - M成因には4つの説が
-
- 血管説
- 三叉神経血管説
- 神経説
- ミトコンドリア説
- M治療
-
- 生活習慣 過労避ける
- ストレス解消
- 規則正しく 眠りすぎない
- アルコールなど避ける
- 姿勢 うつむきだめ
- リラックス
- カフェイン、薬物を連続してとらない
- トリプタン
- ロメリジン
- デパケン 脱毛 高アンモニアに注意
- トリプタン投与後に再度痛い時 鎮痛剤
- 難治例
- βブロッカー ナプロキセン チザニジン 気分転換 デパケン アンモニア60超えないように 頸頚腕症候群も治療 ノイロとロピンとメチコバール併用が効果 頭痛を誘発する薬 インダシン アダラート ガスタ―など 頸頚腕症候群 TTの治療 ノイ メチコ ユベラ ミオナール1T
たぶん真に臨床家なのだろうが、片頭痛の症状としての首肩こりと、緊張型頭痛の区別がわかりにくい話だったので、講演終了後、質問した。
片頭痛発作と同時に緊張型頭痛も出る人がいる。そういうときは、自分はノイロトロピンとメチコバールを屯用で出して効果が出ている、というエビデンスベースからは驚くような話だった。片頭痛でトリプタンの効果が不十分の時、いろいろ試してみよう、というエキスパートオピニオンということで、納得することにした。
群発頭痛シンポジウム
島津D : 病態生理の概説
- 慢性頭痛のガイドライン2006
-
- 視床下部にジェネレーター PET MRI
- ニューロペプチド 血管拡張性CGRP VIP上昇 三叉神経―血管系 酸素やスマトリプタン皮下注でCGRP低下
- 内頚動脈周囲 顔面の発汗 鼻閉鼻漏 結膜充血流涙 海綿状脈洞など内頚動脈や動眼神経副交感神経が通る 頭部や体を動かすのもその浮腫をとるため?
- 2013ガイドライン
- 5月に出たばかり
TACのひとつとして
三叉神経切除後もスマトリプタン(イミグラン)の効果、痛みが続くことからは中枢の関与
4.三叉神経の過剰興奮が副交感神経の活性化 内頚動脈を介さずに
視床下部は三叉神経を調整
翼口蓋神経節 副交感神経神経節の興奮 ホルネルなら本来は無汗 しかし発汗過多 三叉神経の過剰興奮で交感神経に影響するから?
ニューロペプチドの変化
CGRPなどの放出 - ステロイドや酸素吸入がTACsの病態生理で説明?
- 引き金?
個人差?
精神的な興奮は? 視床下部後部に関連
今井D : 群発頭痛の実態
- 激痛発作
- 有病率 124/10万 パ病と実は同じ位多い
- 自験例110例 海外との比較
- 2004年から12年連続110例
- セファラルギアに投稿
- 第2版国際頭痛分類 落ち着きがない 興奮
- 慢性群発頭痛が少ない 1年以上続く
- 不穏状態感=実際に動き回らなくてもいい
- 男女 2.8:1
- 慢性群発頭痛 2例 女性
- 女性は2峰性に発症のピーク
- 男性は20-30代
- たばこ2倍
- 1か月程度続くこと多い
- 1年1回や2、3年に一度
- 1日1、2回
- 1-2時間
- 夜が多い
- 左右移動10%
- 眼窩部 側頭部 眼窩上部
- VAS91点
- 自律神経 流涙70% 鼻漏
- 不穏状態感は70%
- 実際には動かない 動くのは40% 少ない
- 動きで悪化が40%
- 皮下注 95% 点鼻70%効果
- 欧米だと慢性は20%
- 喫煙平均の2倍は共通
- 慢性との関係は、喫煙、コーヒー 頭部外傷との関連
- 性、年齢
- 鼻閉・発汗・眼瞼下垂は欧米で多い
- 不穏行動も80%と欧米で多い 日本は動きたくても我慢するのが3分の1
- 痛みの強さは同じ VAS90程度
- ベラパミル240mgで80%効く 同じ
- ステロイドも
- 歯、顎、耳は少ない
- 東アジアでも同じ傾向
- 片頭痛の合併は10-20%
清水D : 群発頭痛の治療
- 発作期治療と予防
- 薬物以外
- 急性期薬物
-
純酸素 2009年 78%で頭痛消失 JAMA 空気と比較
イミグラン自己注射 本邦2007年から 3mgで効果
海外ではゾルミトリプタン点鼻薬開発利用
5mgで30分後4割でペインフリー
CGRP三叉神経説 レセプターは血管や硬膜など
発作期CGRP上昇
CGRP受容体アンタゴニスト 開発中
CGRPのモノクロナル抗体 予防薬として 半減期長いので、月1回でいい 臨床試験 片頭痛で - 予防薬
-
ワソラン、ステロイドがA
保険外適応が日本でも認められた
ICHD-V β版
ヘミクラニアコンティニュアがTACsにもどった
耳閉感海外だと25%と多い - 薬物以外
-
ベルギーの先生シェ−ネンD
ニューロ刺激
大後頭神経ブロック
ステロイドとキシロカインを注射
効果3日から
GONへの注入
効果
視床下部のDBS 65%で効果
しかし、シャム刺激と差がない 電極挿入部位かえても変わらない 侵襲大きい
ONS 67%で効果 後頭神経刺激
効果 サービカルアフェレントから 中枢のpain modulating matrixに影響?
翼口蓋神経節 眼窩後ろ 動脈 副交感神経
翼口蓋で電気刺激 67%で効果
なんで効くのか? 低頻度では炎症起こす 100Hzくらいだと副交感を抑えるから
迷走神経刺激も、理由?だが効果
トランククラニアルマグネット刺激
sTMS 効果 - 新しい薬はない
- 薬物以外はRCTで有効なものが出てきている
ステロイドはなぜきくのか?
ニューロペプチドの炎症は群発ではあまり関連ないが、なぜか効く 可塑性に関連?
ゴズビー 片頭痛群発頭痛動物モデル 血管から三叉神経脊髄路核(脳幹)で酸素が効く
大和田D
- 群発頭痛の現場
- いまだ診断されていない例が多い
女性のみのがし
片頭痛からの移行
他の症状が強い
悪循環
予防薬必須
しかしステロイドは必須でない - 45歳男性
- 救急搬送
転職 仕事行けないから - 若い女性
- 高校で発症 左側 片頭痛と言われていた
月経関連片頭痛
激しい頭痛で再度受診
群発が混じっている - 3日くらい怪しい時期 嵐が起こり、、
予防薬を使うと嵐が短く弱くなる
トケイの関連 1日何回発作?
発作周期を延ばすだけでも楽に
トリプタは三叉神経に効く
デパケンは脳幹 SSN IGN
血管 ベラパミル ロメリジン カンデサルタン
トリプタンは両方に効果 - デパケン ガバペン併用療法
- 頭痛が減る 曇りの時に予防薬使って効果 かすり傷くらいで終わる? 皮下注を習熟させる必要
議論
- サージカルの適応は?
- 群発ひどいとき 予防薬出しても どうする?
- 頻回の自己注射 1回7キット14回まで出せる 保険で認められている
- 痛む時間が決まっていれば、ナラトリプタンを予防的に 2時間くらいまで
- ワソラン360mgまでふやす
- ステロイドためす 20mg
- MOHにはならない 群発だけでは
- もやもやで持続時間が分かりにくいことがある?
- 頭痛日記で対応
- 軽い頭痛が残る人は半分
- 頭痛の合間に首の張りがある人も
- ワソラン・トリプタ・デパケン少量多剤で予防
2013年5月31日
頭痛 口演
前兆を伴う片麻痺性片頭痛の血流
- 重積発作をおこした片麻痺性片頭痛患者で
- 局所性脳血流がどうなっているか頻回のSPECTで検討
母も発症したので家族性片麻痺性片頭痛だった
そこで遺伝子検査も行った - 前兆24時間以上を遷延と定義
- 国際頭痛分類ででは前兆の持続時間は5 分以上24 時間未満としている
片麻痺性片頭痛発作HMPA - 右筋力低下 同名半盲 失語
発作ごとで左右変わる
SPECT 血流低下 同一の発作で左右かわることを確認
発作間欠期には正常化する - 24時間以降は脳血流CBF増加 糖代謝も増加(PET)
19時間以内では低下
2相性変化 - SPECT発作初期 あちこちで低下
CSDがあちこちでおこる
前兆長いことを反映?
片麻痺性片頭痛ではCSD何回も起こる?
しかし、後半はCBFは増えるので、後半はCSDでは説明つかない - 会場
- 頭痛そのものは?
1W前から過食、うとうと
麻痺後受診
頭痛は2W持続
痛みとの関係は??
頭痛は評価困難 この例では失語も出るし見当識も低下するので、印象としてはよくなったり悪くなったりしているようだ - PET 血流増加期のみで検査 糖代謝も増加
- 痛みの治療は?
カロナールと予防薬で
片頭痛への光刺激
- 35歳F
- 照明がまぶしい
白色蛍光灯から電球色に変えたら、頭痛が軽くなった
これが端緒で研究した - ハロゲン暖色は対照と差なし
白色は片頭痛ではまぶしく感じる
Mでは白色避けるべき - ipRGC
- 内因性光感受性網膜神経節細胞
- 実験
- 暗室でランダムに照明を評価
まぶしさ不快グレアを5段階で自覚的に評価
480nm(RGCのピーク波長)で特にまぶしく感じる Mで - 視床 後外側核の硬膜が関連
- Mの光過敏 RGC関与?
- 会場
- 不快に感じるとは?
頭痛の誘発とは直接関連なし?
MAOA MTHFR TNFβは片頭痛と関連ある
- 遺伝子多型解析と性格を検討
- 神経症傾向 MAで特に
誠実性 - セロトニン関連遺伝子 有意差なし
- MAOA MTHFR TNFβで有意差
三叉神経領域のカプサイシン刺激
- Mの予防効果 シバマイド カプサイシン類似物質で
TRPV1を脱感作
または軸索障害?
JNKはどうなるか検討 リン酸化
カプサイシン6日目でJNKリン酸化される - その結果神経細胞死を引き起こす?
- 会場
- カプサイシンを臨床で使うと神経細胞死はどう評価?
薬物乱用頭痛を作らない 作らせない
OTC鎮痛薬の使用実態
- 大手調剤薬局薬剤師の口演
- 一店舗に毎月5人鎮痛剤のヘビーユーザーがいる
テッシュと同じくらい売れている
7割が頭痛で購入
いつものやつを選択
成分は知らない
ほぼ複合成分
24種類中4種類のみ単一 ロキソニン
情報提供は希望する人だけというゆるさ - バファリンA
バファリンプラス
バファリンルナ
どれもかなり成分が違う
買う人は知らない - 買う人にアンケートした
- 毎日服用している人2%
20%が週1回以上服用
満足度は50%
不満だと回数増える
情報提供は半分程度しかしていない
受診経験は20%
ヘビーユーザーほとんど受診しない
不満あるが、病院行くほどではないと判断
頭痛外来を知る人40%程度
知っていれば30%が受診
毎日服用でも50%は知らない
薬物乱用頭痛MOHの予防と治療 : 五十嵐Dr
- >
- MOH頭痛外来では30%以上
女性F70%
20-40代F
月15日以上の頭痛で2,3年してから受診
元来片頭痛M 80%
きっかけ 緊張型TTが増えた ライフイヴェント - 典型例
- ○10歳代M
20代仕事 PC 頭痛増える はやめに市販薬のむように
出産後より忙しい
寝ていられないので薬を常用 - ○月経関連片頭痛からMOH
そもそも回数多いので - ○ライフイヴェントがきっかけで
- ○TTが加わり、頭痛恐怖になり
MOHになるパターン - ○医原性
- 処方
原因薬剤
市販薬75%
トリプタン23% - 五十嵐Dの外来で
1年後改善しない8例を調査
精神疾患を伴う人
市販薬は全員使用 - MOHの人は、飲みすぎているのは自覚しているが、薬のせいで頭痛が起きているとは思わない
- 頭痛が増える機序
- Mがふえる
TTが加わる
だらだらした変容型になる
不安感で
頭痛以外で鎮痛剤使ってもMOHになる - 治療は
- まずは適切な診断
予防療法積極的に
きちんと説明 2か月は服用 - トリプタン乱用
適切な使用を教育 - 不安感をとる
- 予防療法で再燃減らす
- 予防療法の適応
- 頻回
生活支障
急性期薬 副作用などで使えない
片麻痺型片頭痛 - MOH治療
- 3割再発 1年以内
- 問診のコツ
- 頭痛のない日は何日?と聞くと回数多い人は答えやすい
いつから増えた?
もとの頭痛は?
(薬以外の)増悪因子は?次につながる質問 - 説明だけで78%は改善するというデータも
「1Wはつらいよ」とあらかじめ伝える
中止時期は患者さんと相談
予防薬は最低2、3ヶ月で効果判断 - 治療
- 予防薬は直ちに開始
市販薬は即時中止
仕事・受験・月経など相談しながら - 予防薬
- トリプタ
トピラマート
ここまでエビデンスあり
デパケン
インデラル
ロメリジン
最低2か月
トピラはしかし保険適応がない
びりびり 抑うつ やせる
上手に使用 - 患者さん支援
- 家族の協力
スタッフの協力
離脱するまでは頻回受診 - ダイアリー必須
- 再発1年以内 だからその時期は重要
- 再燃多いのは?
- TT合併例
長い人
複合薬MOH OTC